こんにちは。
ワタナベミエです。
本日は事業資金の新規融資の相談に来店したある経営者のお話です。
会社を設立したばかりだと、社長自身が営業、経理、総務などすべての業務を担うことになり、それにかかる時間や負担はとても重たいものです。
売上が安定して推移するまでの間、運転資金や人件費の確保に頭を悩ませることも多いと思います。また、経営知識や経験不足、信用力の弱さから融資の交渉がうまくいかないこともあります。
今回の記事はそのような悩みを抱える経営者の方にぜひ読んでいただきたい内容になっています。
新規設立の会社が抱える資金の悩み
ある会社の社長が銀行に融資の相談に訪れました。
その会社はソーシャルメディアの運営サポートや戦略実行、コンテンツ制作・運用代行を行っている会社でした。
新規で創業したばかりの会社でしたが、設立間もない会社が事業資金の相談のために銀行に来店することは珍しくありません。
しかし、問題だったのはその借入の内容でした。
融資希望額は500万円。
そもそもソーシャルメディアの運営サポートという業種から考えると、基本的に大きな設備投資を必要とせず一般的には運転資金はあまり発生しない業種です。しかし、なぜこの社長は500万円もの資金を必要としたのでしょうか。
その資金の用途とは…
融資の相談において、銀行は資金の使い道を詳しく聞くことが重要です。
この社長に具体的な用途を尋ねたところ、「新しい事業を始めるが、人件費を支払うと赤字になってしまうため、その補填として資金が必要」との回答でした。
銀行としては、このような資金の使い方に慎重にならざるを得ません。なぜなら、銀行の融資は基本的に「事業の成長や利益を生むための投資」として貸し出されるものだからです。単純に赤字を埋めるための資金として貸し出すのは、銀行にとって大きなリスクとなります。
赤字補填のための融資が難しい理由
銀行が融資の可否を判断をする際、最も重要なのは「返済できる見込みがあるかどうか」です。
仮に、事業投資によって利益を生み出し、その利益から返済できるのであれば、融資の審査も前向きに進むでしょう。
しかし、「赤字補填のための資金」には次のようなリスクがあります。
👉利益を生む計画が明確でない: 赤字を補填するだけでは、その資金を元手に利益が生まれる保証がない。
👉資金が尽きた後の対応が不透明: 500万円を使い切った後、さらに追加で資金が必要になる可能性が高い。
👉返済の原資がない: 新しい事業が計画通りに進まず、赤字が続けば、銀行に返済できなくなる可能性が高い。
銀行の融資とは貸したお金を回収することが使命です。そのため、赤字の補填に使われる資金にはどうしても慎重にならざるを得ないのが実情です。
銀行が求める「前向きな資金計画」とは?
では、銀行が前向きに融資を検討するケースとはどのようなものでしょうか?
- 具体的な事業計画がある
- どのような商品・サービスを提供し、どのような市場でどんな顧客をターゲットとし、どのくらいの利益を見込めるのか。
- 実際に顧客がいることを示せる資料(契約書や見積書)がある。
- 利益が生まれる見込みがある
- 借りた資金を使って設備投資をし、それによって売上が増加する計画がある。
- 例えば、新しい広告手法を導入して顧客を増やし、ある一定の期間で売上を伸ばす戦略が明確になっている。
- 返済計画がしっかりしている
- 毎月の返済額をどのように確保するのか、具体的な収支計画が示されている。
- 過去の実績や他の資金調達方法も併用することで、銀行への返済リスクを軽減できる。
赤字でも融資を受けるためには?
それでは、赤字補填資金では絶対に融資を受けられないのでしょうか?
実際の現場では、赤字補填資金の融資が受けられないわけではありません。
しかし、赤字の補填ではなく、事業の成長につながる計画を示すことが重要です。
例えば、
📌売上を伸ばすための具体的な施策がある(マーケティング強化、販路拡大など)
📌一定の自己資金を確保し、いざというときのための資金余力がある(資金余力を見せることで事業の計画性を示すことができる)
📌会社設立前の個人事業主時代の事業実績や他の方法での資金調達実績がある(成功事例や返済実績を示して信頼性を高めることができる)
こうした準備をすることで、銀行側も融資を前向きに検討しやすくなります。
まとめ
銀行の融資は「借りたお金を増やせる見込みがある事業」に対して行われるものです。赤字補填のための融資は、返済リスクが高いため慎重に判断されます。
もし融資を受けたい場合は、
💡赤字補填ではなく、事業拡大や成長のための資金計画を立てること
💡明確な売上・利益計画と返済計画を示すこと
がとても重要です。
銀行と良好な関係を築くためにも、「なぜ銀行が赤字資金に対して融資を渋るのか」を理解して、しっかりとした事業計画を準備することが事業成功への鍵となるでしょう。
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