こんにちは。ワタナベミエです。
「決算は黒字なのに融資を断られた」「なぜ銀行は“キャッシュフロー”ばかり気にするの?」 そんな疑問をお持ちの経営者の方も多いのではないでしょうか。
実は銀行は、損益計算書の利益ではなく、“お金の流れ”=キャッシュフローを重視して融資審査を行います。
今回は銀行員の視点から、なぜキャッシュフローが返済能力の判断材料として重要なのか、またその改善ポイントについてわかりやすく解説します。
銀行が見るのは利益ではなくキャッシュフロー
黒字倒産はなぜ起きるのか?
「利益が出ている=安全な経営」とは限りません。 むしろ、帳簿上は黒字でも**現金が足りずに倒産する“黒字倒産**は、中小企業に多く見られる現象です。
たとえば、売上が伸びて在庫が増え、売掛金の残高も膨らんだ結果、 帳簿上は好調でも、実際に使える現金が減ってしまい、
・従業員の給料が払えない
・借入の返済ができない
といった状況に陥るのです。
つまり、銀行が見るのは「利益」ではなく、現金の動き=キャッシュフローなのです。
決算書上は「黒字」でも、銀行はそれだけでは安心しません。
なぜなら、黒字でも「現金がない=返済できない」ことは珍しくないからです。
実際の融資判断では、営業キャッシュフロー(本業で稼いだお金の増減)を重視して見ています。
売上とキャッシュフローの根本的な違い
- 売上:商品やサービスを販売したことによる帳簿上の計上
- キャッシュフロー:実際にお金が出入りした記録
売上があっても、売掛金が回収されていなければ、現金は手元にありません。
このギャップを理解せずに資金繰りを判断すると、返済不能に陥ることもあります。
「営業キャッシュフロー」こそ返済力の指標
キャッシュフローには3種類あります:
- 営業キャッシュフロー(本業からの現金増減)
- 投資キャッシュフロー(設備投資など)
- 財務キャッシュフロー(借入や返済など)
この中で、融資返済の原資になるのは“営業キャッシュフロー”です。
ここがプラスでなければ、「借りたお金を本業で返している」とは言えません。
なぜ“利益+減価償却費”で簡易計算できるのか
営業キャッシュフローの概算値を出す方法として、
当期利益 + 減価償却費
という式があります。
減価償却費は実際にはお金が出ていない“会計上の費用”なので、 利益にそれを足せば、より現実に近い「お金の残り具合」がわかるのです。
売掛金や在庫が資金繰りを悪化させる理由
帳簿上の利益が出ていても、実際に使える現金が不足している理由の多くは、
- 売掛金の回収遅れ(お金が入ってこない)
- 在庫の過剰(資金が商品に化けて動かない)
これらが原因です。
帳簿上では利益や資産が増えているように見えても、実際には手元に使えるお金がない状態は非常に危険です。銀行口座に現金がなければ支払いも返済もできず、経営が立ち行かなくなります。こうした“見かけだけの黒字”は、倒産リスクを高める要因になります。
銀行が安心する返済計画づくりの5つのヒント
- 営業キャッシュフローを毎月チェックする
- 季節変動や特別支出(修繕費など)を織り込む
- 売掛金の回収を早める、在庫を圧縮する
- 融資の金利・返済条件が営業実態に合っているか再確認
- 万一に備えた予備資金を持つ
まとめ:キャッシュフロー改善が信頼につながる
銀行が融資判断をするときに注目するのは「数字のきれいさ」ではなく、“お金を回せているか”という実態です。
帳簿上の黒字に安心せず、営業キャッシュフローにも注目して経営の見直しを図ることで、銀行からの信頼も高まります。
返済可能な経営のベースは、数字ではなく現金の動きにある──この視点を、ぜひ意識してみてください。
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