こんにちは。
ワタナベミエです。
第2回は支店長像の変化がもたらす影響について考えてみたいと思います。支店長の姿勢や支店における役割の変化は支店内外にさまざまな影響をもたらしています。
支店長像の変化がもたらすその影響とは
部下のモチベーションの低下
支店長の自主性が抑制され、本部の指示に従うことが最優先となる風潮が強まることによって、今度は支店長が本部と同じく、部下が自分の指示に従うように画一的に管理しようとします。
支店長の中には、いくつもの店舗の支店長を経験し、これまでの経験から自分の意見が正しいと確信している支店長も少なくありません。また、部下の意見や仕事のやり方を批判することが「リーダーシップ」だと勘違いしているタイプの支店長も存在します。
支店長が部下の成長や意見を尊重しない態度を取ると、部下のモチベーションは下がります。そして部下は「どうせ自分の意見は聞いてもらえない」と感じるようになり、結果的に優秀な人材が離職する原因となります。高圧的な態度や批判ばかりの指導は、部下との信頼関係を損ねますし、このような支店長には部下が寄り付かず、結果として支店長自身が孤立してしまうこともあります。
「支店長は本部の顔色を窺っているだけ」といった印象が広がると、支店全体の士気も下がります。そのような環境下では、支店全体の雰囲気が悪化し、お客さま対応や支店の業績にも悪影響を及ぼすことになります。
また、コミュニケーション能力の欠如にも問題があります。仕事に関する話題以外での交流を避けるような支店長や(もしかすると仕事以外でどんな話をしていいのかわからないのかもしれません)、会社の飲み会で部下のダメだしばかりする支店長を目にすると、ほとんどの人はそんな飲み会に二度と行きたいとは思わないでしょう。
現代の多様化する社会においては、様々な年齢や性別、意見を持つ職員を尊重し、チームで協力することが必要となってきます。部下の意見を活かせない、建設的な会話ができないと組織全体の活性化は難しいものとなるでしょう。
銀行支店長は変わった? お客さまとの関係性について
顧客への深入りを恐れる支店長
現代の支店長は、本部の定めた方針に沿って行動することが求められています。支店長自身が考えた個々のお客さまに合わせたきめ細かな対応は、リスク回避や効率化を重視するあまり後回しにされてしまうことがあります。
また、お客さまに深く関わることで、万が一問題が発生した場合に責任を問われることを恐れる傾向も強まっているように思います。事業が失敗した場合、支店長は「もっと注意すべきだった」と責められ、自分の出世に影響する可能性もあるからです。
お客さまを怒らせないための手段とは?
お客さまを怒らせないために、なんでもかんでも肯定しお世辞を述べる支店長も少なくありません。言葉を選びすぎて無難な会話に終始することから、結局のところ何を言いたいのか傍らで聞いている私にも理解できないこともあります。こういった表面的な対応は、かえって顧客の不信感を招く可能性があります。
また、お客さまとの会食などでは、うわべだけの軽妙なトークを繰り広げる支店長もいます。しかし、このような振る舞いは、かえって顧客から「支店長が本心を見せない」と捉えられてしまう恐れもあります。
表面的な関係では本当の信頼関係は築けない
銀行と顧客との間には、単なる取引関係を超えたもっと深い信頼関係が求められます。しかし、現代の銀行支店長の中には、顧客の事業内容を深く理解することなく、表面的なアドバイスしかできない人も増えています。その結果、お客さまにとって的外れなアドバイスや、現実的ではない提案を行うケースも見られます。
このような状況では、お客さまは支店長からのアドバイスを真剣に受け止めることはできないでしょう。
銀行は単なるお金を扱う場所ではなく、事業をサポートするパートナーと言っても過言ではありません。お客さまの夢を応援し後押しするパートナーなのです。そのためには顧客との間に深い信頼関係を築き、個々の顧客ニーズに合わせたきめ細やかなサービスを提供することが不可欠なのです。
第3回に続く…
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