#0004 銀行の支店長像 ③ 理想の支店長像を取り戻すには

銀行の支店長

こんにちは。

ワタナベミエです。

銀行の支店長像の最終回は、現状の課題を踏まえて理想の支店長像を取り戻すためには、どのような取り組みが有効が考えていきたいと思います。

理想の支店長を取り戻す

支店長の自主性を尊重する文化

支店長が自らの意見を持ち、本部と意見を交わす場を増やすべきです。本部と支店は対立するのではなく、互いを補完し合う存在であり、支店の現場感覚を反映した柔軟な意思決定が求められると思います。本部は支店長の意見を尊重する一方で、譲れない部分ではしっかりとけん制する。このバランスが重要です。

ある支店の取り組み

ある支店では、本部との関係性に課題があり、支店長が一方的に指示を受ける形になっていました。そこで、支店長が本部とのコミュニケーション改善を図るため、「意見交換ミーティング」を定期的に開催することを提案しました。このミーティングでは、支店長が具体的な現場のデータや顧客の事例を基に提案を行い、本部側からも改善案やフィードバックをもらう形で進行されました。

結果、本部は支店長の現場感を評価し、支店に合った柔軟な方針を採用するようになりました。また、支店長自身も「本部の意図を深く理解できるようになった」と語り、双方にとって有意義な関係性が築かれました。この事例は、支店長が「現場を代表する声」として本部と対等に意見を交換する重要性を示しています。

部下との信頼関係の構築

支店長は、部下の意見や提案を尊重し、モチベーションを高めることができるようなリーダーシップを発揮すべきです。「批判ではなく育成」を心がけ、部下の成長を後押しする姿勢を見せることで、支店全体の士気が向上します。

対話を重視した支店長

ある支店長は、部下との関係に悩んでいました。特に若手職員が支店長に相談することをためらう風潮があり、これが業務効率の低下につながっていると感じていました。そこで支店長は、自らの考え方を変え、日常的に部下に話しかける時間を取りました。この時間は、仕事の話ではなく、部下の趣味や生活に関する話題に限定し、気軽な雰囲気の中でコミュニケーションを取ることを目的としました。

この取り組みの結果、部下は支店長に親しみを感じ、業務上の相談や提案もしやすくなりました。また、支店長が部下一人ひとりの強みや興味を把握できるようになり、それに基づいた適切な業務分担が可能になりました。もちろん支店全体の結びつきも強くなり、チームワークも向上しました。

お客様に寄り添った対応

支店長は、お客様の事業内容を深く理解し、画一的な対応ではなく、それぞれに最適なアプローチを行うことが求められます。これにより、支店全体の視野が広がり、長期的な業績向上につながります。

顧客の本質的な課題解決に取り組んだ支店

ある支店の取引先で、長年にわたり業績が低迷している会社がありました。他の金融機関の支援も消極的である中、この支店長は顧客の事業内容を詳細に調査し、真の課題を見つけ出すことに注力しました。地元の経営コンサルタントを紹介し、顧客とともに長期的な経営計画を策定しました。この計画には、事業の一部を縮小して収益性の高い分野に集中するなどの施策が含まれていました。実行までには時間がかかりましたが、最終的にこの取引先は黒字転換を果たし、銀行に対する信頼も大いに向上しました。

支店長職の魅力を再認識する環境づくり

支店長が自主性を発揮し、リーダーシップを持って働ける環境を整えることで、若手職員にとっても「目指したい役職」となります。支店長自身が仕事を楽しんでいる姿を見せることは、組織全体の活性化につながると思います。

支店長候補者に向けた育成プログラムを導入するのも一つの手段かもしれません。若手職員が支店長の業務を疑似体験して、運営する側からの視点を養うことが目的です。架空の支店を運営してみたり、実際に支店長として部下への接し方や本部への提案、架空の部下の事例を基に人事評価をしてみるといったことも実践的な内容でとてもおもしろいのではないかと思います。

「支店長はただ命令を下すだけではなく、組織全体をまとめるクリエイティブな職務である」という認識が広がり、支店長職は魅力のある仕事だとわかれば、組織全体の士気向上につながると考えます。

理想の支店長像とは

これらの事例に共通しているのは、「支店長が受動的ではなく能動的な行動」を意識して行うといった点です。本部と支店の関係性を改善したり、部下との信頼関係を築いたり、お客様に寄り添った対応を行ったりする中で、支店長自身が主体性を持つことがいかに重要かが浮き彫りになります。

さらに、支店長職の魅力を組織全体で再認識し、後継者育成に力を入れることが、銀行全体の成長に寄与することは間違いありません。支店長が自主性とリーダーシップを発揮し、現場で輝く姿を見せることが、次の世代の職員たちにとって理想像となり、組織全体の活性化につながると思います。

理想的な支店長像の実現は、現場の努力と組織の支援が相まって初めて達成されるものです。こうした取り組みを続けることで、支店長という職務の価値と意義がさらに高まることを期待しています。

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