こんにちは。
ワタナベミエです。
今日のお話は経営破綻した取引先の中で、私が一番忘れられない会社のお話です。
はじめに
融資担当者として多くの会社と接する中で、時には驚くべき事例に直面することがあります。
今回ご紹介するのは、会社の資金繰りに社員を巻き込んだある会社のケースです。
この事例を通して、経営者としての責任や、組織の在り方について改めて考える機会となりました。
社長の印象と会社の状況
その会社の社長は、見た目は紳士的で礼儀正しく、周囲からも「人格者」として評されていました。
しかし、実際にお会いした印象は、こちらの質問をはぐらかしたり、話の論点をずらしたりする傾向があり、話しをしていて少し違和感を感じたのを覚えています。
会社の決算書を見ると、売掛金が毎年増加、その他の資産項目も増加しており、それと比例するようにそして利益も右肩上がりでしたが、どこか不自然さが感じられる内容でした。
決算内容の不自然さと粉飾の発覚
税理士を交えた調査の結果、十数年前から粉飾が行われていたことが判明しました。
初期の頃は粉飾した金額を把握していたものの、途中からは自分たちでも実態がつかめなくなっていたそうです。架空の資産を控除した結果、会社の債務超過額は年商を上回る規模にまで達していました。
その間、複数の取引銀行から借り換えを繰り返し、何とか資金繰りを維持していましたが、その方法は長く続けられるものではありませんでした。
社員を巻き込んだ資金繰りの実態
驚くべきことに、この会社では資金繰りの一環として、社員の貯蓄額を聞き出し、「個人の財産も会社に投資するべきだ」と説得して、社員個人の預金を会社に入れさせていました。
これらの行為は経営者としてだけでなく、人としての一線を超えたものであり、驚きとともに強い憤りを感じた出来事でした。
社長に対する社員の思い
粉飾発覚後、社長が社員たちに会社を続けることが出来ないことを説明しました。
ところが、社員たちの誰一人として社長を恨んでいなかったのです。
社員たちは「どこかおかしいと思っていたけれど、困っている社長を助けたい一心だった」と話していました。社長に対して信頼を置いていたからこそ、彼らは疑問を抱きつつも協力を続けたのでしょうか?
私には理解できませんでした。
会社の破産とその教訓
最終的にこの会社は破産を申し立てるに至りました。
このような状況に陥った背景には、経営者としての判断ミスや倫理観の欠如があったと感じます。
また、社員との信頼関係を利用して資金を調達するという行為は、どれだけ状況が厳しくても許されるものではないと思いました。
おわりに
今回の事例は、経営の難しさや社員との信頼関係の在り方を深く考えさせられるものでした。
一方で、経営者としての責任を全うしない行為は、社員やその家族の人生に悪影響を及ぼすことを忘れてはいけないと思います。
ただ、最後まで社員から慕われていた社長のことを考えると、銀行としてもっと早い段階で粉飾に気づいて、何とか救うことが出来なかったのかなと無念さを感じるものがありました。
このような事例を通じて感じた教訓を、これからも業務に活かしていきたいと感じた出来事でした。
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