こんにちは。
ワタナベミエです。
会社経営において資金調達は欠かせません。
その中でも銀行の融資は重要な資金調達手段の一つで、運転資金や設備資金を調達するには、事業計画と銀行との綿密なコミュニケーションが大切です。
今回の記事では、短期借入と長期借入、それぞれの考え方や返済方法を分かりやすく解説します。
短期運転資金と長期運転資金の違いを簡潔にまとめると、以下のようになります。
短期運転資金
- 目的
主に日常の事業活動における一時的な資金不足を補うための資金です。
例:仕入れ代金の支払い、手形の決済、在庫購入、ボーナスの支払い - 返済期間
1年以内が基本です。 - 返済財源
短期間で回収が見込まれる売上代金や取引先からの入金が返済財源となります。 - 活用例
売掛金の回収までの資金繰りや、季節的な売上変動に対応する際に利用します。
長期運転資金
- 目的
事業拡大や経営改善など、中長期的な視点で必要となる運転資金です。たとえば、新規の大口取引先との取引を開始する際に、商品を先に納品し、代金の回収は数ヶ月後になるといったように、資金の回収タイミングが遅れるケースがあります。このように、売上は増えるものの入金までに時間がかかる場合、その間の資金繰りを支えるために長期運転資金が必要になります。 - 返済期間
1年超が基本で、3年から5年程度の中長期にわたることが一般的です。 - 返済財源
長期的に見込まれる売上や事業計画で得られる利益が返済財源となります。 - 活用例
事業拡大のための大規模な仕入れや、新しいプロジェクトの立ち上げに必要な資金を補う場合に利用します。
短期運転資金と長期運転資金の主な違い
項目 | 短期運転資金 | 長期運転資金 |
---|---|---|
返済期間 | 1年以内 | 1年超 |
資金用途 | 一時的な資金不足の解消 | 成長・拡大のための資金 |
返済財源 | 売掛金回収など短期的収入 | 事業計画での長期的収益 |
活用シーン | 日々の運転資金需要 | 中長期的な事業展開 |
それぞれを詳しく解説していきます。
短期借入=短期の運転資金の融資とは?
短期の借入とは、1年以内に返済することを前提とした融資です。
具体的には、売上金の回収までの運転資金とするもので、仕入れ資金や在庫の購入、支払手形の決済資金など、日常の運営に必要な資金を補うものです。
考え方
短期借入は、営業活動の中で「一時的な資金不足」を解消する目的で活用します。
例えば、売上代金の入金が遅れた際や、季節変動で仕入れが増える時期などに利用されることが一般的です。
稀に一時的に資金が不足していて、短期借入でしのぎたいと申込みに来られる方がいらっしゃいます。そのような状態は日常的な営業活動の資金不足と言えないことが多く、短期で資金を調達するよりは、後から説明する長期借入で運転資金を調達するのが適切だと思います。
返済財源
短期借入の返済財源は、売上の回収によって得た資金が基本となります。
例えば、仕入れた商品が売れて代金が回収されることで、その資金を返済に充てるのが通常の流れです。
返済方法
返済方法は、主に以下の2つです。
元金均等返済
毎月一定額を返済する方法。返済計画が立てやすいのが特徴です。
元金均等返済する融資としては、賞与資金や季節の仕入れ資金…例えば年末やお正月の繁忙期に向けて商品を仕入れて、売上金が入ってくる都度、毎月返済していくというものです。
一括返済
借入の最終期限にまとめて返済する方法です。
特に短期運転資金で利用されることが多い方法です。
あるメーカーが商品を作るとします。その商品を販売し、その販売代金が売上金として後日入金となることが確実な場合、一括返済の方法をとることが一般的です。資金が日常的な営業活動の中で、循環している状態です。
また、建設業では、工事の代金を引き当てとして短期借入をし、工事に係る経費や人件費を支払います。完工後、工事代金の支払いがあり、その資金で一括返済するという流れになります。その際の工事代金は必ず、融資取引のある銀行の預金口座を指定します。
いずれの場合も返済が遅れると、銀行に対する信用に響くので事前に売上の見込みを慎重に立てることが重要です。
長期借入=長期運転資金の融資や設備資金の融資とは?
長期借入は、1年超の返済期間を想定した融資です。
長期借入には大きく分けて、「長期の運転資金」と「設備資金」の2つがあります。
長期運転資金の融資とは?
同じ運転資金でも短期と長期の運転資金があります。
考え方
長期の運転資金は、会社の成長や規模拡大のために必要な資金を補うものです。例えば、販路拡大のためのマーケティング費用や新規事業への投資など、1年以内の回収が難しい場面で活用されます。
返済財源
長期的な売上増加や利益を返済の財源とします。
そのため、事業計画をしっかり立て、融資を受けた資金がどのように利益を生むかを、具体的に計画に落とし込む必要があります。
返済方法
一般的には、元金均等返済になります。
月々の返済額が一定になるため、資金繰りの計画が立てやすいのがメリットです。
ただし、返済が長期間にわたるため、金利負担も含めたトータルコストをしっかり確認しましょう。
設備資金の融資
考え方
設備資金は、事業に必要な設備や機械、土地・建物などの購入費用を賄うための融資です。
これは長期間にわたり収益を生む資産の購入に使われるため、融資を受ける際には、その投資効果を見込んだ慎重な判断が求められます。
返済財源
設備投資で得られる利益が主な返済財源となります。
例えば、新しい機械を導入した結果、生産性が向上し、売上が増加することで返済資金を確保できます。
返済方法
設備資金も元金均等返済が主流です。
一方で、導入した設備が利益を生むまでに時間がかかる場合には、「据置期間」(元金返済を一定期間猶予してもらう期間)を設けることも可能です。
例えば、賃貸アパート建設のために設備資金を借入したとします。返済財源はアパートの家賃収入となりますが、完成後、新規で入居募集しても数か月間空室が埋まらない場合もあります。そうした懸念を考慮して、3か月もしくは6ヵ月程度の据置期間を儲けることがあります。これは、銀行との交渉になりますが、事業計画に合った返済スケジュールを組むことが大切です。
融資を受けるためのポイント
事業計画の作成
融資を受ける際、事業計画は欠かせません。特に、返済財源や事業の将来に渡る継続性を具体的に説明することで銀行の理解も深まります。
資金使途を明確にする
融資金が具体的にどのように使われるかを明確にすることが大切です。資金使途が不透明な計画では融資の審査が通りにくくなります。
キャッシュフローの管理
返済財源となるキャッシュフローを常に意識しましょう。無理のない返済計画を立てることが、事業継続の鍵となります。
最後に
短期借入と長期借入の違いや返済方法を理解することは、経営者としての重要なスキルです。
銀行は「どのように返済するか」を非常に重視するため、返済計画をしっかり立てることで、融資の成功率が高まります。
両者の選択は、資金需要の性質や返済計画に基づいて決定されます。銀行と相談しながら、自社に最適な資金計画を立てることが重要です。
この記事が、融資を検討する際の一助となれば幸いです。ご不明点やご相談があれば、お気軽にお問合せください。
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